試合終了まで残り10秒。その一瞬、誰もが息をのみ、体育館は不思議な静寂に包まれた。
去る2月19日。今年度も本校アリーナにて東京都高体連ハンドボール専門部が主催する東京都東西対抗戦が行われました。東京都を東と西に分け、各校から16名ずつ選抜して、対決するこの大会は、いわば「オールスター戦」。高校生ハンドボーラ―にとっては憧れの舞台です。本校からも選手として2名が選出され、監督として本校顧問の鳥羽教諭、主務として、本校マネージャーの2名がチームに帯同しました。
現在、西選抜チームは7連敗中。「今年こそ」の思いで集まった16名は1、2月と練習を重ね、本番を迎えました。
試合は一進一退の攻防を繰り返します。共に東京を代表する選手が選抜されているチームです。豪快なミドルシュート、GKの圧巻なキーピング。体育館につめかけた多くの観客たちはそのプレーに魅了されます。
本校から選出された2名の選手も躍動しました。試合前、監督の鳥羽教諭は「DEFだけなら一級品」そう評していた二人が西選抜チームを支えます。要所要所で東選抜のキープレーヤーを潰す役割を担った彼らはまさに影のMVPでした。
同点のまま迎えた試合終了直前、それまでに西選抜チームのDEFを献身的に支えていた本校選手がファウルを取られ、退場します。1人減った西選抜チーム。まさに絶体絶命。しかし、そんな中チームではこんな声が飛び交っていました。
「絶対勝てる」「俺にボールを回せ」
ラスト10秒。会場中が固唾をのむ中、ウイニングショットを放ったのは西選抜チームでした。26-25。近年まれにみる好ゲームを制したのは、西選抜でした。
試合後、興奮した面持ちで後片付けをする本校ハンドボール部の1年生の姿が体育館にはありました。「来年は自分たちもあの舞台に立ちたいです。」口を揃えてそう話す彼らは、翌日から練習に取り組んでいます。
物語は来年へと続きます...。