木枯らし1号が吹いた11月7日(木)、茶道部が月初めのお稽古で「炉開き」を行うと聞き、カメラを持って和室にお邪魔しました。

 

炉開きとは、11月(亥の月)最初の亥の日にそのシーズンで初めて炉に火を入れる、茶道の年中行事です。

陰陽五行説で最も陰の気が強まる水の日でもあり、この日に火を使い始めればその冬は火事にならないのだとか。

 

茶道では、5~10月は風炉【ふろ・持ち運びのできる炉】、11月~4月は炉【ろ・畳の下に備え付けられた囲炉裏】を使ってお茶を点てます。

季節に応じて釜の位置を変え、暑すぎず寒すぎず、お客様に快適なおもてなしを提供するための工夫だそうです。

部員たちは風炉のお作法との違いを確認しながら、一人ずつお点前を披露しあっていました。

 

 

今日のお茶菓子は「亥の子餅」。亥が重なる日の炉開きで火消しや子孫繁栄を願う餅を食べる。

ここには、何事もなく一年無事に過ごせたことをお祝いする意味もあるようです。

 

 

上品な甘みのあんこと食感の良いクルミやお豆は、この時期ならではの味わいですね。

お点前を交代で練習するそばでは、見学に来た1年生に袱紗(ふくさ)の使い方やお茶のいただき方を教える姿もありました。

 

 

そんななか、授業を担当するクラスの生徒が「先生もせっかくだからどうぞ!」と、急遽お茶を点ててくれることに。

背筋を伸ばして茶器を見つめる真剣な横顔は、のんびり屋さんな普段の姿とはまた違う、凛々しい表情でした。

 

 

泡のおかげで苦みがまろやかになったお茶でくつろいでいたせいか、気づけば2時間ほど経っていました。

ゆったりのんびり、せわしない日常の息抜きになるような、時間を忘れる柔らかい空気。

こういった目に見えない安心感も、茶道部が目指す「おもてなし」でしょうか。

 

 

最後の挨拶では、お茶の先生から炉開きに使うと縁起の良い茶道具の紹介もありました。

・・・こうやって炉開きをする日に、宮中では「玄猪包(げんちょづつみ)」という形でお餅を下賜していて、その形を模した香合(こうごう)もあるんだよ。

いんべ(伊部)、おりべ(織部)、ふくべ(瓢)の3つを揃えるのがよいとされていて、お椀に描かれた6つのひょうたんは「無」病息災を意味しているよ・・・

部員たちは先生が見せてくれる茶器に見入り、昔の人が道具の端々に込めた健康への願いに思いを馳せました。

 

 

顧問の先生からは、3年生が念願の御免状をとった時の様子も写真で見せてもらいました。

日々の活動で少しずつ作法を覚え、卒業までに御免状を取ること。

この目標を共有しつつ、五感で四季の移ろいを味わったり、教養として古来の風習に触れたりすることが、活動の醍醐味なのですね。

 

「一生モノの趣味になる茶道って素敵だな。」短い時間でそう思わせてくれるあたたかさでした。

お茶、ごちそうさまでした!

 

(文・写真/企画広報部、御免状写真提供/茶道部顧問)