団体戦はダブルス一つとシングルス二つで、各試合8ゲーム先取で行われる。
初戦の相手は、大阪1位の大商学園高校。
インターハイ5年連続6回目の出場である強豪校である。
◇ダブルス◇
出場は1年生ペアの金津・高橋。クラスも同じでコンビネーションは抜群。
ここで勝利し、よい流れでシングルスに繋げたい。
ゲームは相手サーブからスタート。
1ゲーム目からお互い譲らず、なんとデュースが6度続く。
大事な1ゲーム目。
応援も初めから熱が入り、会場の雰囲気を大成カラーに変えた。
このゲームを見事ブレイクし、1ゲーム目を制した。
その後は1度ブレイクされるが、
お互いキープを繰り返し3-3で迎えた第7ゲームから試合の流れが変わる。
第7ゲームをブレイクされ3-4となり、続く第8ゲームはキープされ3-5。
流れは相手に傾き始める。
3-5で相手サーブの第9ゲームを迎える。
順調にポイントを重ね15-40でリードする。
ここは絶対に取りたいところ。
しかしそれは相手も同じ。
長いラリーが続く。
ボールを打つ音だけが聞こえる。
最後は高橋のショットで決め、見事ブレイク!
そのままの流れで続くゲームも取り、見事追いつき5-5とする。
その後お互い1ゲームずつ取り、6-6で迎えた第13ゲーム目。
ここで金津が果敢に攻め、ボレーで2ポイントを取り勢いに乗る。
しかし、相手はインターハイ常連校。
簡単にはゲームを取ることができず、デュースまで持ち込む。
しかし金津は攻めの姿勢を崩さない。
前衛の選手を恐れず、強気の返球をみせ、このゲームを見事ブレイクする。
迎えた第14ゲーム目。
このゲームをとれば勝利である。
緊張する場面だが、最後は圧巻であった。
相手のミスで15-0。
金津が相手の前衛を、鋭いストロークで鮮やかに抜き30-0。
金津がストロークで決めれば、高橋はボレーで決める。
相手の甘い返球を見逃さず、40-0。
ついにマッチポイント。
最後は金津の強烈なフォアハンドで相手のミスを誘い、見事勝利した。
◇シングルス1◇
出場は3年生の鈴木。
最後の大会がいよいよ始まる。
相手選手は、3年連続で単複出場しているエース西田さん。
鈴木にとって苦しい試合となることは間違いない。
ベンチに入ったのは3年加藤。
5番手の加藤は、東京都予選からチームを裏方で支え続けた。
一度も試合に出場することはできなかったが、笑顔を絶やさずチームを支え続けている。
テニス選手にとって、自身の出番がこないことはどれほど辛いことか。
そんな姿を表には一切出すことはなかった。
チームが勝利したときにはメンバーと心から喜ぶ表情を見せていた。
チームにとって決して欠かせない存在であり、彼女のおかげでここまで来たといっても過言ではない。
第1ゲームは鈴木のサーブから始まる。
1本目から、両者の思いがぶつかったラリーが続く。
長いラリー。
その数14本、制したのは相手選手。
その後スライスなどを効果的に使うもののブレイクされ、0-1で1ゲーム目を終える。
続く第2ゲーム。
今度は逆に鈴木がブレイクし、1-1。
鈴木の強烈なフォアハンドが決まれば、相手も同じように強烈なフォアハンドで打ち返す。
そんなゲームが続き、なんとお互いブレイクを繰り返し2-3で5ゲーム目を終える。
迎えた第6ゲーム。
相手のサーブで始まる。
ここもブレイクをしたいところ。
一方で相手はキープをしてリードしたい。
両者の気持ちがぶつかり、デュースとなる。
良いリターンで相手のミスを誘い鈴木のアドバンテージ。
しかしここでミス。再びデュース。
今度は相手のアドバンテージ。
絶対に渡すものかと気持ちの乗ったストロークで、相手のミスを誘い再びデュース。
ゲームを取る1ポイントが遠い。
合計4度のデュースを制したのは相手だった。
この試合初めてのキープ。2-4でリードされる。
応援もベンチの加藤も懸命に励まし、なんとか気持ちを切り替える鈴木。
鈴木のサーブで始まる第7ゲーム。
強烈なセカンドサーブを決め15-0。
その後2ポイント取られ、15-30。
隣ではダブルスが7-6で逆転をしていた。
絶対にキープしたいこのゲーム。
サービスエースで30-30。
続けて2ポイントを取り、鈴木にとっては初のキープで3-4とする。
その後もサーブを中心に攻めていくが4ゲーム連取されてしまい、残念ながら試合には負けてしまった。
しかしこれは団体戦。
最初に始まったダブルスが見事勝利したので、まだ決着はついていない。
鈴木が向かったのは、同学年の高橋が試合をしているベンチであった。
◇シングルス2◇
出場は3年生の高橋。
高校最後の大会が始まる。
隣では同じく3年生の鈴木が試合を行っている。
苦しい立ち上がりだった。
自らのサーブで始まった1ゲーム目を先取され、その後も2ゲームを取られ0-3となる。
緊張からかボールがうまく走らない様子だ。
続く第4ゲーム。
相手サーブではあるが、このゲームは何としても取りたいところ。
応援する生徒達も精一杯声援を送る。
初めから長いラリーが続く。
見事制し0-15とする。
その後も徐々に本来の調子を取り戻し、15-40とする。
しかし相手も譲らない。
2ポイント取られデュースとなる。
相手がさわれないショットをこちらが打てば、相手も同じようなショットを打つ。
5度のデュースを経て、こちらのアドバンテージ。
強いショットをお互い打ち合う。
ここで相手も観客も予期しなかったドロップショットを打つ。
これには相手も間に合わず、見事このゲームを制す。
続くゲームは取られるものの、その後はサービスエースなどもあり、3ゲームを連取し4-4で追いつく。
試合の途中、隣で戦っていた鈴木が負けてしまう。
よって高橋が勝てば初戦突破、負ければ初戦敗退である。
しかし戦っているのは彼女だけではない。
出場している選手、応援にきた生徒、保護者、監督、顧問も一緒に戦っている。
そして負けてしまった鈴木も自らベンチに入り、一番近くで声援を送る。
その後もお互い譲らない。両者の実力は拮抗している。
14ゲーム目を高橋が取り7-7とする。
先に2ゲームを取った方の勝利。
15ゲーム目を無事キープし、迎えた第16ゲーム。
両校だけでなく、他の学校や記者も注目している。
精一杯声をだし応援する人、固唾をのんで見守る人など様々である。
15-40で高橋のマッチポイント。
高橋が打ったショットは、ライン付近に落ちる。
インかアウトか。一瞬会場が静まる。
判定はラインぎりぎりでイン。
見事勝利をおさめ、団体戦初戦を勝利で飾る。
最後はベンチにいた鈴木と抱き合った。
続く2回戦は、沖縄県代表の沖縄尚学高校との試合であった。
ダブルスはシーソーゲームであったが、最後は7-9で負けてしまった。
シングルス1も5-8で敗れ、残念ながらベスト16には届かなかった。
しかし最後まであきらめず、大成高校テニス部らしいチーム力が発揮された、最高の大会であった。
残るは個人戦。3年鈴木が本当に最後の大会に挑む!