試合終了を告げる、長いホイッスル。
無情なまでにくっりきと分かれる勝者と敗者のコントラストをなすピッチを前に
誰もが声を失い、誰もが息をすることさえ忘れたようでした。
大成高校応援スタンドは不思議な静寂に包まれました。
11/17(土)11:00、駒沢オリンピック公園陸上競技場において、
第97会全国高等学校サッカー選手権大会東京都2次予選Aブロック決勝が行われました。
創部53年の長い歴史を持つサッカー部ですが、決勝進出は史上初。
勝利へと後押しすべく、初の全校応援を行いました。
生徒だけでなく、教職員・保護者・歴代OBも駆けつけ、
全力で選手たちの背中を押しました。
決勝戦という夢の舞台で選手たちは躍動します。
戦前の下馬評では、若干の国士館高校有利。
しかし、決勝戦で試合のペースを握ったのは大成高校でした。
3年間の想いをぶつけるが如く、必死にボールを追う3年生たちの姿に
自らの夢を掴むべく躍動する2年生たちの姿に
訪れた本校応援団の心は揺さぶられ、
最初はどこか遠慮がちであった本校生徒たちも
気づけば、声の限りに応援をしていました。
しかし、「勝利の女神」はやはり気まぐれでした。
前半終了間際、国士館高校のコーナーキックにより、失点。
そしてこの1点が決勝点となってしまいました。
「0-1」
突きつけられた現実を前に、ピッチに崩れ落ちる本校サッカー部。
本校サッカー部初の全国大会出場という夢の扉が閉ざされた瞬間でした。
試合終了の瞬間、誰もが声を発することができない中、スタンドからこんな声が聞こえてきました。
「ありがとう」「顔上げろ」
声の主は応援にまわったサッカー部の生徒でした。
そして、サッカー部応援団から広がる感謝の声はやがて生徒たちを巻き込み、大きな声援となり、うなだれ応援席に挨拶をした選手たちを包みました。
流した涙の分だけ、強くなれる。
流した涙の分だけ、幸せになれる。
3年生は次のステージへ...。残された後輩たちは来年こそ「全国」へ...。
来年こそ「全国」で、全校生徒で「TAISEI」のビッグフラッグを掲げよう...。
「物語」は来年に続きます。