昨年度の記事〈進化する「総合的な探究の時間」 - 大成かわら版 - 大成高等学校〉で「総合探究」刷新の元年と銘打った2024年度。改革の先駆けとなった2学年の授業活動を振り返り、各コースの1年間の学びをご紹介いたします。

 

【ITコース】

「『Withテクノロジー』で自分の『好き』や『興味』を広げるデジタル探究講座」と題し、普段触れる機会のないドローンやVRゴーグルの体験を取り入れつつ、最終的に自分でWEBサイトを作ることに挑戦しました。

 

1学期のメインは、最新のテクノロジーに触れること。校内の広い場所を確保してドローンの操縦を体験した際には、クラス対抗でのミニレースも行いました。離陸からUターンして同じポイントに着陸するまでの速さを競う単純なルールですが、浮き上がる高さを調節しつつ、機体の水平も保たないといけないので、生徒たちは大盛り上がりでした。

 

また、VRゴーグルではゆっくり時間を取ってメタバース空間の体験。エジプトのピラミッドを訪ね、海の中に潜り、YouTubeでVRに対応した動画を探して試してみた生徒もいました。モノや景色がそこにあるかのような3D映像に触れ、生徒の振り返りでは「障害を持っていて外出が難しい人に使ってもらえそう」と、活用の可能性を想像するコメントが見られました。

 

さらに7月初旬には、フィールドワークの一環として、情報経営イノベーション専門職大学への訪問も行いました。大学施設の見学のほか、AIの力を借りて音楽を作る様子をのぞいてみたり、漫才の台本をAIと一緒に作ってみたり。

午後は希望者を引率して三菱電機株式会社が主催する「METoA Ginza(メテオ銀座)」を訪ね、遠隔操作のロボットを触らせてもらいました。

 

そして2学期からは、生成AIの手助けを借りて説明文を考え、自力でWEBページの作成に取り組みました。推しのアイドルやゲームを紹介する生徒もいれば、自分の所属する部活を選んだ生徒、意外性を求めて相撲のことを調べ始めた生徒など、テーマ設定はさまざま。30秒~1分程度で補足動画も作成し、伝えたいことを余すことなく詰め込んだ成果物を、3学期にグループで発表しあいました。

 

【SDGsコース】

「SDGsの視点をもって、三鷹をもっと魅力あふれる街にするための行動を提案しよう!」をテーマに1年間取り組んできました。

SDGsという言葉は小中学校で何度も聞き、なんとなく知っている程度だった生徒たち。そこでまずは1学期にSDGsを題材にした様々なゲームや、実際の新聞を用いながら世の中にどのようなSDGsがあふれているのかを実感するワークを通して、今まで気づかなかったSDGsに関する視野を広げるところから始めました。それはいわば「SDGsのメガネをかける」ことであり、そのメガネを得た状態で、夏からいよいよ三鷹の地域について詳しく調べていきます。

 

まずは7月に街でアポなしでの突撃インタビューを実施したのですが、なかなか対応してくれる人に出会えずかなり苦戦しているようでした。そこで、2学期に普段から取材して記事にすることが仕事の記者の方に講演をしてもらい、「フードロス問題を調べているが、どこに取材に行ったら良いのか」など、教員では応えにくい生徒の疑問に答えてもらいました。10月に今度はアポを取って、駅前の飲食店や農家、スポーツセンターなどへ取材に行きました。はじめは見ず知らずの人に取材にいくことに消極的だった生徒たちですが、取材を終えて帰って来た姿は充実感に溢れていました。

 

取材の内容も踏まえ、2学期末に各チームで発表してもらいました。「三鷹市はキウイが特産だが、知名度を上げるべきだ」「子育てをする親のための取り組みをもっと知ってもらうためにアピールするべきだ」など、大人ではなかなか目がいかなかった地域の魅力や課題が次々と出てきたことがとても印象的でした。
学年末には各チームで記事を作成し、1つの新聞として制作をしました。本物さながらに発行された新聞に自分たちの書いた記事が載っているのを見て、SDGsコースの生徒たちはとても嬉しそうでした。

街でインタビュー、壁の高さと達成感 大成高校の「SDGsコース」 | 朝日新聞社 先生コネクト

 

【国際コース】

「グローバルマーケティング ~日本の商品やサービスを海外に広めよう~」を活動のテーマとし、マーケティングの観点から、英会話や異文化交流の枠を超えた問題解決の提案に取り組みました。

 

1学期は留学生との関係性づくりから始まり、母国の文化や社会問題をリサーチします。年間を通して活動するグループはランダムで決定していたため、お互いに緊張感も残る中、身振り手振りで留学生と交流を深める生徒たち。「電気が通っていない場所がある」「海が汚い」「貧富の差が激しい」など、さまざまな課題があることが分かりました。

 

2学期は集めた情報をもとに日本国内の製品やサービスを見直し、それらを留学生の故郷にも応用できるようにアイデアを練ります。考えたことをまとめて留学生に説明し、もらった意見をもとに再検討。何度も議論を重ねて発表の構成を組み立て、満を持して3学期にプレゼンテーションを実施しました。

例えば、冬季の降雪量が多いリトアニア出身の留学生と交流したチーム。融雪パイプの技術に目をつけ、ランニングコストを計算して導入の利点を示しつつ、セールスのアイデアも添えて提案をしてくれました。

 

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3つのコースに共通して言えるのは、自分たちを取り巻く環境に改めて目を向け、新しい視点を獲得したり、それまでと違う捉え方を試みたりするような活動に取り組んだこと。1年間で得た学びを、来年の進路選択や今後の自己実現にも役立てていってほしいと思います。

なお、2025年度の新2年生における総合探究では、「映像コース」を新設し、計4コースでより生徒の興味関心に沿った授業展開を目指してまいります。

今後とも本校の教育活動に温かいご理解・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。